SABO NEWS LETTER  No.37 2000/9/1





2. 平成13年度概算要求の概要について
3.概算要求の主要事項


〔1〕重点事項
1-1 安全な地域づくり(生活関連等公共事業重点化枠対応)

(1) 激甚災害地域緊急防災対策
 [事業費:2,122億円、国費:1,290億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:282億円)]

  近年頻発している水害や土砂災害により激甚な被害を受けた地域を対象として、同規模の災害を再び発生させないための対策を実施する。また、今年噴火した有珠山や三宅島などの活火山の周辺地域において、火山泥流・土石流等による被害防止対策やハザードマップ・監視カメラ等の警戒避難体制の整備を推進する。

・緊急に対策を必要とする土砂災害危険箇所を概ね3年間で概成
・活動が活発な28火山におけるハザードマップの作成


(2) 重要生活施設防護土砂災害対策
[事業費:183億円、国費:103億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:22億円)]

 幹線道路、主要な鉄道等の重要交通網及び地域に密着し、生活に不可欠な病院・診療所等の施設を土砂災害から保全する。

・2003年までに国土を縦貫する主要国道等に係る重要交通網集中地域等約 540箇所の土砂災害対策を概成
・平成13年度は、潮鶴川(熊本県)、船越町4丁目地区(神奈川県)等約160箇所で実施


1-2 IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備等21世紀の新たな発展基盤の整備(日本新生特別枠対応)

(1) IT革命の推進

(1)迅速的確な災害情報の提供のためのIT防災基盤整備
〜知らせる努力(行政)と知る努力(国民)
[事業費:762億円、国費:511億円(うち日本新生特別枠国費:215億円)]

 大河川氾濫時や土砂災害発生時における人命喪失等重大な被害の発生を回避し、ハード、ソフト両面から水害、土砂災害に対する安全性を高めるため、水門等を遠隔操作するための施設やCCTV(監視カメラ)、浸水センサー、GPSによる斜面監視等の監視装置を整備する。また、これらの情報を円滑かつ確実に伝達するとともに、光ファイバー収容空間を民間事業者へ開放し、各家庭を光ファイバーで結ぶFTTH(Fiber to the home)の実現を支援する光ファイバーネットワークの整備を推進する。

・概ね2003年までに約100箇所においてGPS等による斜面監視装置を整備
・平成13年度は、GPSによる斜面監視装置を怒田・八畝(高知県)等約20箇所整備

(2) 環境問題への対応

(1)廃材再利用等の徹底による環境対策 
[事業費:167億円、国費:103億円(うち日本新生特別枠国費:40億円)]

 流木や間伐材、土木工事から発生する汚泥、コンクリート殻等を工事の材料として積極的に活用することにより、環境負荷の少ない河川、海岸の整備を推進する。
 また、河川・ダムに漂着する流木のリサイクル化を推進する。

・平成13年度は、真名川ダム(福井県)、猪谷(滋賀県)等約190箇所で実施

(2)流砂系の総合土砂管理による国土保全
[事業費:301億円、国費:208億円(うち日本新生特別枠国費:41億円)]

 海岸侵食や河床変動の著しい河川において、中小出水時の土砂流出を促すオープンタイプ砂防ダムを重点的に整備するとともに、計画を上回る速度での堆砂が進行しているダムにおける堆砂対策を推進することにより、適正な土砂の流下を促し、総合的な土砂管理を推進する。

・平成13年度は、富士川水系(山梨県)、三峰川総合開発事業(長 野県)等約15箇所で実施

(3) 高齢化対応

(1)災害弱者関連緊急土砂災害対策
[事業費:536億円、国費:285億円(うち日本新生特別枠国費:65億円)]

 厚生省・文部省等と合同で実施した緊急点検結果に基づき、土砂災害の犠牲者となりやすい自力避難が困難な災害弱者に関連した老人福祉施設等の災害弱者関連施設や、高齢者居住家屋等が存在する危険箇所にお 
いて、砂防ダム等の土砂災害防止施設を重点整備する。

・緊急性の高い土砂災害危険箇所約1,600箇所について2003年までに概成
・平成13年度は、奥村川(兵庫県)、郡地区(島根県)等約1,020箇所で実施

(4) 都市基盤整備
 
(1)都市機能等の壊滅的被害を防ぐ大規模災害等緊急対策
[事業費:2,207億円、国費:1,425億円(うち日本新生特別枠国費:168億円)]

 県庁所在地等の政治経済中枢都市における大規模水害による壊滅的被害防止対策や、過去10年間に土砂災害による人的被害が発生した都市等における緊急対策として、スーパー堤防整備事業、高潮・侵食対策及び土砂災害防止対策等を実施する。

・平成13年度は、淀川(スーパー堤防整備:大阪府)、中村町(土砂災害対策:神奈川県)、藤沢海岸(高潮対策:神奈川県)等約410箇所で実施

(2)水と緑のまちづくり支援対策
[事業費:171億円、国費:83億円(うち日本新生特別枠国費:3億円)]

 水環境の悪化している都市河川への導水や川沿いの緑の整備、公園整備と一体的に行う斜面防災対策を実施し、身近でうるおいを感じることのできる良好な都市環境を創出する。

・平成13年度は、大相模調節池(埼玉県)、内丸一丁目地区(青森県)等約90箇所 を整備


1-3 生活関連の社会資本の整備(生活関連等公共事業重点化枠対応)

(1) 生活・衛生環境の向上

(1)都市内多自然空間の確保対策 
[事業費:414億円、国費:216億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:23億円)]

 都市内において、治水計画に位置づけられた調節池をビオトープ空間として整備することにより治水安全度の向上を図る。また、市街地に隣接した山麓斜面に樹林帯等(都市山麓グリーンベルト)を整備し、貴重な環境空間の創出と土砂災害に対する安全性の確保を推進する。

・都市山麓グリーンベルトを2003年までに15都市域で整備
・2002年までに約1,200箇所の急傾斜地で緑の斜面整備を実施
・平成13年度は、綾瀬川(埼玉県)、六甲山系(兵庫県)等約320箇所で実施

(2) 地域の振興

 (1)水辺の交流拠点整備 
  [事業費:392億円、国費:199億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:25億円)]

 河川や海岸に特有の自然とふれあうことのできる機能を十分に活かした取組みを推進するため、NPOや市民団体、地元自治体、関連省庁と連携しつつ、交流・自然体験・環境教育の場としての身近な水辺環境の整備等を実施する。
・2003年までに「水辺の楽校」、「水辺プラザ」を約250箇所、「い きいき・海の子 ・浜づくり事業」、「健康海岸事業」を約10箇 所整備
・平成13年度は、梅田川(神奈川県)、田之代海岸(兵庫県)等約 270箇所で実施



〔2〕新規事項

(1) 活火山の周辺地域における緊急的な防災対策

 火山活動が活発化した地域において、火山泥流や土石流等の広域的かつ大規模・多様な災害に緊急的に対応するため、現在の「砂防激甚災害対策特別緊急事業(砂防激特)」(補助率5.5/10)より補助率を引き上げ、工期も3年から5年に延長した「火山砂防激甚災害対策特別緊急事業(火山激特)」(補助率 2/3)を創設。

(2) 土砂災害防止対策の充実

 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)が平成13年4月より施行されることに伴い、土砂災害警戒区域等の指定等を目的とする基礎調査に対し、「砂防基礎調査費補助」及び「急傾斜地基礎調査費補助」(補助率 1/2)を創設。

(3) 新規直轄砂防事業

・広島西部山系
  広島西部山系は、広島市、廿日市市等3市2町にまたがる地域であり、その南部には、中国地方を東西に結ぶ主要な交通幹線である山陽新幹線や山陽自動車道等が横断しており、社会経済的に重要な場所に位置している。
  一方、当該地域は崩落を起こしやすい特殊土壌である「まさ土」と呼ばれる花崗岩地帯であるため、過去から多くの大規模な土砂災害が発生している。特に、平成11年6月29日の梅雨前線豪雨により多発した土砂災害等では、広島県で死者24名、家屋全半壊 149戸を数えるなど深刻な被害を受けている。
  このため、当該地域において平成13年度より直轄砂防事業を新たに着手する。



〔3〕災害復旧関係事業の推進

(1) 災害復旧事業・改良復旧事業の推進

 洪水・地震・火山噴火等により被害を受けた河川、道路、海岸、砂防設備、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設等の多様な公共土木施設の災害復旧事業、改良復旧事業を実施し、災害に強い国土の整備を行う。特に、越水が生じた河川については、被害をもらたした洪水を対象として堤防嵩上げを行う災害復旧制度を適用する等現行制度を最大限に活用した災害復旧を実施する。
 また、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」に基づき、自然環境の保全に配慮した災害復旧事業・改良復旧事業を実施する。



〔4〕省庁連携の推進
(国土交通省統合4省庁との連携施策・事業)

(1) 火山災害対策の推進
(1)活火山防災帯整備事業の推進【北海道開発庁、運輸省との連携】
[事業費:214億円、国費:141億円]

 火山地域において、観光や周辺の良好な自然環境に配慮しながら、野外活動拠点と一体的に樹林帯や遊砂地等の防災空間の整備を推進するとともに、避難路や避難場所となる防災施設の重点的かつ面的な整備を推進する。

(2)避難路・避難場所の整備の推進【北海道開発庁、国土庁との連携】
[事業費:6億円、国費:4億円]

 火山地域において、砂防工事用道路等を幹線道路と有機的につなぐことで、災害発生時における住民や観光客の避難路の確保等を推進する。
また、活火山地域においては、噴火に対する一時的避難場所(シェルター等)を工事区域内に設置し、安全確保を一層推進する。

(3)ハザードマップの早期作成・公表等【北海道開発庁、国土庁、運輸省との連携】
[事業費:25億円、国費:13億円]

 地域住民のみならず火山地域を訪れる観光客等不特定多数への情報提供方法・警戒避難体制を確立するため、火山活動が特に活発で周辺地域に甚大な影響を与えるおそれのある全国28活火山地域のハザードマップを平成13年度までに作成し、早期に公表する。
 また、火山災害の危険を早期に把握するため、ワイヤーセンサーや監視カメラ等の設置を推進する。

(4)火山噴出物の緊急除石と有効利用【北海道開発庁、運輸省との連携】
[事業費:26億円、国費:19億円]

 火山地域から流出する大量の火山噴出物については、土砂氾濫被害を防止するために河道や遊砂地、河口において除石を行う必要がある。除石した大量の土砂については、沿岸部において防災拠点等を伴った港湾施設の埋め立て等に有効利用する。

(5)IT(情報技術)に関する開発・活用の推進【北海道開発庁、国土庁、運輸省】
[事業費:53億円、国費:33億円]

 火山地域周辺等のデータベースの作成等により土砂災害予測に役立てるとともに、災害発生時に危険地域周辺の状況把握と二次災害を防止するため、人工衛星利用技術、GPS、無人ヘリ等のITに関する開発・活用を積極的に推進する。
 また、光ファイバー網整備、無人化施工の際にも使用できる通信施設(タワー)設置、公共施設等避難所への情報発信等のIT(情報技術)に関連した「災害情報ネットワーク整備」を重点的に実施する。

(2) 省庁連携による効果的な防災対策の推進
(1)広域防災拠点等防災拠点とネットワークの形成【北海道開発庁、運輸省との連携】
[事業費:73億円、国費:46億円]

 様々な災害に対応した国民の安全を確保するため、広域防災拠点、各地域の防災拠点の整備とそのネットワークを構築する。

 
・首都圏内陸防災拠点として、物資、要員、避難民等を水上輸送するための機能を有する朝霞地区防災拠点の整備
・活火山地域において、火山活動や土石流等に関する情報を集中的に管理し警戒避難に役立てる集中監視施設や災害時には避難場所として利用する「砂防・火山防災ステーション」の整備
・危険な斜面等を平坦化することにより生み出された安全な場所における警戒避難、緊急輸送、緊急医療等の機能を有する防災拠点等の整備

(2)広域的な海岸侵食対策の推進(渚の創生事業の充実)【運輸省との連携】
[事業費:11億円、国費:5億円]

 主として漁港・港湾の港内から浚渫した土砂を海岸侵食箇所へ流用する「渚の創生事業」の充実を図り、漁港・港湾周辺や河川、砂防施設及びダム等に堆積した土砂を海岸侵食箇所へ活用する新たな連携により、美しい砂浜を復元するとともに、広域的・効率的な侵食対策を推進する。

(3)災害復旧関係事業における連携強化【運輸省との連携】
[事業費:203億円、国費:141億円]

被災状況や被災地域の特性に応じ、河川、道路、砂防、海岸、港湾等が一体となって改良復旧を実施するなど、一層効果的な復旧を図る。

(4)迅速的確な災害情報の提供のためのIT防災基盤整備【北海道開発庁、運輸省との連携】
[事業費:762億円、国費:511億円]


(その他省庁との連携施策・事業)

(1)土砂災害防止に配慮した災害弱者関連施設整備の支援 (厚生省、文部省との連携)
(2)間伐材有効利用促進(林野庁との連携)
(3)総合的な流木災害防止緊急対策(林野庁との連携)
(4)耕作放棄地活用(農林水産省との連携)

次頁へつづく