SABO NEWS LETTER  No.43 2001/1/9 


2. 新年のご挨拶

社団法人 全国治水砂防協会
理事長 大久保駿

 
 新年あけましておめでとうございます。皆様には健やかに、希望あふれる新世紀の幕開けを迎えられたものとご推察申し上げます。

 昨年一年間、会員の皆様には砂防事業の促進のため、そして砂防協会発展のための諸活動にご尽力いただきましたこと厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

 21世紀最初の本格的予算である、平成13年度の予算編成も無事終了しいたしました。治水事業全般の予算が少し厳しい中、砂防事業実施のための新しい制度がいくつか実現し、砂防事業の進展がさらに図られることとなりました。砂防協会も会員の皆様共々多様な支援をして参りましたが、関係各位のご努力、とりわけ皆様方の熱意あふれるご尽力が大きな力になったものと敬意を表する次第であります。

 さて、今も三宅島や有珠山では多くの方々が避難生活を余儀なくされ、土砂災害の脅威が続いています。このように相変わらず土砂災害は頻発しており、残念ながら土砂災害は20世紀中に克服することはできませんでしたが、100余年にわたる砂防の営々とした努力は各地にその成果を見ることが出来、災害軽減に大きな貢献をしてきていると思います。あたかもピラミッドを造るがごとく賢固なベースを築いてきた歴史でもあります。

 100年前、20世紀初期の日本の砂防を振り返ってみますと、明治初期に招聘されたオランダの技術者、デ・レーケが日本各地の古来の砂防をさらに発展させ、砂防の必要性を論じ続けて、30年近く日本に滞在し、日本の砂防の発展に尽力したのち帰国し、一方ではオーストリー流の砂防を採り入れようとする動きが始まっていた頃になります。ある意味では砂防技術、砂防思想の大きな転換期を迎えていたのではないかと思います。近代砂防が明治14年(1881)の事業執行体制の整備、明治31年(1898)の砂防法制定がスタートとすれば、20世紀の始まりは、砂防思想の大きな転換期を迎えていた頃だと思われます。

  100年後の21世紀は、新しい「土砂災害防止法」の法律施行とともに始まり、ハード対策に加えてソフト対策に法的根拠が与えられ、まさに人間と自然との関わりの中で災害の克服が図られていくと言う、新しい画期的な展開がなされていくこととなったのだと思います。

 これからの21世紀は、これまで先人が築いてきた大きな基盤の上に立って、さらに安全性を高めるための努力を続けていくこととなるのです。災害は必ずや克服できるものと確信をし、この新世紀は災害克服の世紀にしていきたいものです。

 砂防の仕事は人々に恩恵をもたらすあらゆる事業、事象の根底にある仕事であり、砂防なくして豊かな生活は保障されないと言うことを肝に銘じて、砂防協会も、さらに砂防の進展のために努力を続ける所存であります。会員の皆様のご鞭撻、ご教示をよろしくお願い申し上げます。