SABO NEWS LETTER  No.48 2000/9/5





2. 平成14年度砂防部関連概算要求の概要
3.概算要求の主要事項


〔1〕重点事項

1-1 循環型経済社会の構築など環境問題への対応

 21世紀を迎え、ますます高まる環境問題に適切に対応するため、自然共生型事業の推進、リサイクルの徹底等環境にやさしい事業を推進する。

1.自然共生型事業の推進
 生物にとって良好な生息・生育環境を保全・再生するため、横断構造物への魚道の設置オープンタイプの砂防えん堤の設置による総合土砂管理の推進、地域住民と一体となった樹林帯の整備等、自然と共生する砂防事業を推進する。

2.リサイクル・リユースの徹底
 流木や間伐材、土木工事から発生する汚泥、コンクリート殻等を建設資材として積極的に活用するとともに、漂流する流木のリサイクル化を図ることで、環境負荷の少ない砂防事業を推進し、循環型社会の構築に資する。


1-2 少子・高齢化への対応

 自力避難が困難な高齢者等の災害弱者への防災対策として、土砂災害防止施設等を重点整備する。

1高齢者等の災害弱者対策の推進
 土砂災害の犠牲者となりやすい自力避難が困難な災害弱者に関連した老人福祉施設等の災害弱者関連施設等を保全するため、砂防えん堤等の土砂災害防止施設を重点整備する。
これらにより、高齢化社会を迎えるにあたり、高齢者を含めたすべての人々が安全で安心して暮らせる生活基盤を整備する。


・災害弱者関連施設:児童福祉施設、老人福祉施設、身体障害者更生援護施設、医療提供施設、知的障害者援護施設、幼稚園等


1-3 地方の個性ある活性化、まちづくり

 頻発する土砂災害、火山噴火などに対し、集中的に防災対策を実施するほか、住宅宅地開発を促す砂防施設等の整備など、地域の活性化、まちづくりに必要な基盤整備を実施し、安全で安心できる地域社会の形成を目指す。

1.安全で活力ある地方の創出
 土石流や地すべり、がけ崩れ、火山災害等により激甚な災害が発生した一連の地区において、同規模の災害を再び発生させないための対策を重点的に実施する。また、地域生活に欠かせない重要な幹線道路等を土砂災害から保全するとともに、地域の個性を生かした拠点整備を実施する。


1-4 都市の再生−都市の魅力と国際競争力

 都市の魅力と国際競争力を高め、豊かで快適な、また、経済活力に満ちあふれた都市の再生を実現するため、「災害に強い都市の構築」及び「水と緑のネットワーク整備」に重点的に取り組む。

1.災害に強い都市の構築
 土石流や地すべり、がけ崩れにより激甚な災害が発生した都市部における一連の地区において、同規模の災害を再び発生させないための対策を重点的に実施する。また、土砂災害による主要道路の遮断等を防止する重要交通網保全対策を実施する。


2.水と緑のネットワーク整備
 都市域において、市街地に隣接した山麓斜面に樹林帯等(都市山麓グリーンベルト)の整備や在来植生を残した斜面対策等を行うことにより、身近でうるおいを感じることのできる魅力的な都市空間の創出を推進する。


1-5 世界最先端のIT国家の実現

 ITを活用し、災害に関する情報の収集・提供を迅速に行うための観測機器及び光ファイバー網による防災情報ネットワークの整備を推進。

○ITを活かした迅速な危機管理と的確な情報提供
 集中豪雨等による土砂災害発生時における人命損失等重大な被害を回避するため、ITを活用した防災情報ネットワークを構築し、災害情報等を迅速かつ的確に収集・提供する体制を確立する。




〔2〕融合・連携施策の推進


   国土交通省の発足による統合のメリットを最大限発揮し、施策の効率化、効果の早期発現、質の向上を図るため、都市整備、防災等に係る施策の本格的な融合・連携を進める。また、従来より実施している他府省との連携事業について一層の強化を図り、施策の総合的な展開に努める。

○水と緑のネットワークの形成
(都市・地域整備局、道路局、港湾局、北海道局)
緑地の保全と併せ、公園、河川、道路等の事業を一体的に実施し、緑の骨格軸・ネットワークを構築する緑の回廊構想を推進する等、多様な水と緑のネットワークの形成を進める。


○ゼロエミッションの達成に向けた建設リサイクルの推進
(大臣官房、官庁営繕部、総合政策局、都市・地域整備局、道路局、住宅局、港湾局、航空局)
公共事業におけるゼロエミッションの達成に向けたリサイクル施設の整備支援、リサイクル材の率先利用等の推進を図る。


○防災拠点ネットワークの形成
(官庁営繕部、総合政策局、都市・地域整備局、道路局、鉄道局、
自動車交通局、海事局、港湾局、航空局、海上保安庁、気象庁)
広域的な災害対策活動の核となる基幹的広域防災拠点等の防災拠点の整備と陸・水・空の輸送機能の確保等によるネットワークの構築を関係機関が連携して進めることにより、災害に強い都市づくりを推進する。


○超高速光ネットワーク環境の構築
(総合政策局、都市・地域整備局、道路局、港湾局)
河川、道路、港湾等の公共施設管理用光ファイバー収容空間の整備等を推進し、公共の光ファイバー収容空間の全国ネットワーク化を図るとともに、透明性の高い利用ルールの下で迅速な開放を進め、超高速ネットワーク環境の構築を支援する。


○活火山地域における総合的な防災対策
(気象庁、国土地理院)
富士山をはじめとする活火山地域において、ハザードマップの作成・公表、火山の監視・観測体制の整備、地域住民への情報提供について、気象庁等と連携して実施する。
また、火山噴火に起因する土砂災害に迅速に対処する応急対策計画を策定し、危険地域における無人化施工機械の適用等速やかな砂防工事の実施体制等の確立を図る。

※ 以上の融合・連携施策に加え、他府省との連携事業について一層の強化を図る。

   ・災害弱者関連施設を保全する土砂災害対策(厚生労働省、文部科学省)
   ・間伐材の有効利用促進(林野庁)
   ・総合的な流木災害防止緊急対策(林野庁)
   ・水辺の体験学習の核となる「水辺の楽校」整備(文部科学省、環境省)
   ・「自然豊かな海と森の整備対策」事業(白砂青松の創出)(林野庁)






〔3〕災害復旧関係事業の推進


 頻発する水害、土砂災害等に対し早期の民生安定化を図るため、被災した公共土木施設の災害復旧事業、改良復旧事業を引き続き推進する。

 洪水、地震、火山噴火等により被害を受けた河川、道路、海岸、砂防設備等の公共土木施設について、被災原因の除去、再度災害防止の観点から災害復旧事業、改良復旧事業を実施し、被災地域の早期復興、民生安定化を支援する。特に早急な対応が必要な箇所については応急復旧制度を適用するなど、災害復旧制度を最大限に活用し的確かつ効果的な復旧を推進する。また、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」に基づき、自然環境の保全に配慮した事業を推進する。
 平成13年においては、1月から3月にかけての低温災害、3月の芸予地震災害、6月から7月にかけての梅雨前線豪雨災害等により、これまでに全国で約2,200億円(7月末現在)の公共土木施設被害が発生している。





(上記に関するお問合せは、国土交通省砂防部砂防計画課まで)


関連サイト:国土交通省河川局 平成14年度国土交通省関係予算河川局関係概算要求