11月7日(金)から9日(日)にかけて、新潟大学・川邉洋教授、京都大学防災研究所・藤田正治教授、立命館大学・里深好文教授、鹿児島大学・地頭薗隆准教授、岩手県立大学・牛山素行准教授、岩手大学・井良沢道也准教授の6名の大学の先生方と私、そして各大学の学生の計21名で、岩手・宮城内陸地震により土砂災害が発生した現場を視察しました。
7日は岩手県一関市の市野々原地区天然ダム(河道閉塞)、祭畤(まつるべ)大橋、山王山土石流災害現場、8日は宮城県栗原市の一迫川流域の坂下地区、浅布地区、小川原地区の天然ダム(河道閉塞)、荒砥沢ダム上流の大規模地すべり、三迫川流域の沼倉地区、沼倉裏沢地区の天然ダム(河道閉塞)、9日は岩手県一関市の産女川上流の大規模山腹崩壊地を視察しました。
土砂災害発生現場においては火山堆積物が大部分を占め、場所によっては手で触るだけでボロボロと崩れるような、地質的に非常に脆いものであることを実際に確認することができました。特に荒砥沢ダム上流の大規模地すべりにおいては、地すべり土塊末端部のほんの一部しか見ることができなかったものの、自身がこれまでに見たことがない規模の地すべりにしばし圧倒されました。河道が閉塞された現場においては、仮排水路の設置や河道の掘削が行われておりましたが、災害発生後5カ月余りが経過した現在も、厳しい寒さの中多くの人たちが懸命に作業をされていました。
既に山頂部にうっすらと雪が積もっているところも見られ、まもなく本格的な降雪の時期がやってきますが、ほとんどの崩壊斜面はいまだ手つかずのままであり、お話を伺った作業員の方々も、来春の融雪による土砂災害の発生を危惧されていました。
今なお行方不明のまま発見されていない方もおられますが、本地震に関する災害で亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災にあわれた方、避難を余儀なくされておられる方々に心よりお見舞いを申し上げ、一刻も早い復旧・復興を願っています。
なお、今回の現地視察にあたり、国土交通省岩手河川国道事務所、林野庁東北森林管理局宮城北部森林管理署、岩手県県南広域振興局一関総合支局をはじめ、多くの方々に大変お世話になりました。ここに厚く御礼申し上げます。
平成20年11月19日
(社)全国治水砂防協会事業本部 事業係長 野間 大祐 |
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