TOPICS (社)全国治水砂防協会 UPDATE 2011/12/26

平成24年度水管理・国土保全局関係予算決定概要


※本ページは国土交通省水管理・国土保全局資料(平成23年12月)を基に作成いたしました。


1.予算全般

予算の基本方針
・東日本大震災対応として、本復旧の速やかな実施や復興に資する整備を着実に実施するとともに、今後発生すると想定されている東海、東南海・南海地震等の大規模地震等への備えを全国で集中的に実施。

・新潟・福島豪雨、台風12号、台風15号等による激甚な水害・土砂災害の発生状況も踏まえ、災害が発生した地域における再度災害防止対策を集中的に実施。また、災害の起こりやすさや災害が発生した際に想定される被害の程度を考慮して、予防的な治水対策を実施。

予算の規模
 水管理・国土保全局関係予算(一般会計国費)  6,703億円
(治水事業等関係費 6,116億円※1、下水道事業関係費 59億円※2、災害復旧関係費 506億円、行政経費 22億円)
 ※1 「日本再生重点化措置」要望額639億円を含む。
 ※2 「日本再生重点化措置」要望額12億円を含む。

・上記以外に、東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費1,966億円(うち、復旧1,576億円、復興127億円、全国防災263億円)がある。
・上記以外に、社会資本整備総合交付金16,124億円(東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費1,729億円〔うち、復興267億円、全国防災1,462億円〕を含む。)がある。
 ※復興庁に一括計上されている。

日本再生重点化措置
 経済発展の支障となる水害・土砂災害等に対する不安の解消による安心・安全社会の実現や、下水汚泥のエネルギー利用等の促進による低炭素・循環型の社会の構築を図る。
(1)激甚な水害・土砂災害が生じた地域等における災害対策 【国費:639億円】
 激甚な水害・土砂災害や、床上浸水が頻発するなど繰り返しの水害の発生により、国民の生活に大きな支障が生じている地域において、被害の防止・軽減を図るため、集中的に事業を実施するとともに、より迅速な危機管理対応が的確に図れるよう、監視体制を強化する。

(2)民間活力による創エネルギー対策(下水道革新的技術実証事業) 【国費:12億円】
 下水汚泥のエネルギー利用、下水熱利用に係る革新的技術について、国が主体となって実規模レベルの施設を設置して、技術的な検証を行い、ガイドラインを取りまとめ、民間企業のノウハウ、資金を活用しつつ、全国へ展開する。

東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費
  
           【国費:390億円(うち復興127億円、全国防災263億円)
 
東日本大震災の被災地域における復旧、復興への取組みを進めるとともに、今回の大震災の教訓を踏まえて全国的に緊急に実施する必要がある防災・減災対策を実施する。
(1)河川津波対策
 津波により、甚大な被害が発生したことを踏まえ、堤防の嵩上げ等を実施し、被害の防止・軽減を図る。

(2)堤防・水門等の耐震・液状化対策
 液状化等により、多くの堤防が被災したことを踏まえ、堤防・水門等の耐震・液状化対策を実施し、被害の防止・軽減を図る。

(3)新たな崩壊のおそれのある箇所等における土砂災害対策
 強い地震動により不安定な土砂が流動化し、被災地の復興に不可欠な重要交通網等に甚大な被害を及ぼすおそれが高まっている地域において、土砂災害対策を実現する。

※東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費として、この他に復旧1,576億円がある。
 なお、復旧1,576億円、復興127億円は、復興庁に一括計上されている。
※東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費として、この他に社会資本整備総合交付金(復興267億円、全国防災1,462億円)がある。なお、復興267億円は、復興庁に一括計上されている。


主要項目
1.治水事業等関係費

(1)予防的な治水対策 【国費:1,477億円】

 国民の生活の安全安心を確保するため、災害危険度の高い地域における効果的な災害予防対策を重点的に実施する。

(2)災害対応・危機管理対策 【国費:1,165億円】
 災害が発生した地域において再度災害の防止対策を重点的実施するとともに、危機管理体制の充実を図る。
(うち、激甚な水害・土砂災害が生じた地域等における災害対策
                      【日本再生重点化措置 国費:639億円】)

(3)維持管理 【国費:1,301億円】
 既存施設が機能発揮するよう、コスト縮減に努めつつ適切な維持管理を行う。また、増大している老朽化した河川管理施設のうち、著しい劣化等により、機能に重大な支障が生じ、洪水被害を助長するおそれがあるなど、故障した場合に影響が大きいもの等について、優先的かつ計画的に更新・補修を行うなどの戦略的な維持管理・更新を推進する。

(4)ダム建設 【国費:1,084億円】
 検証を進めているダム事業については、基本的に、新たな段階に入らず、地元住民の生活設計等への支障に配慮した上で、必要最小限の予算を計上。
 検証の対象としない事業のうち、継続的に事業を進めることとしたダム事業については、可能な限り計画的に事業を進めるために必要な予算を計上。また、川辺川ダムについては生活再建事業を継続するために必要な予算を計上。
 八ツ場ダムについては、対応方針を「継続」としたことを踏まえ、生活再建事業の他、本体工事の準備に必要な関連工事を進めるための予算を計上。
 また、補助ダム事業については、今後、個別ダムの検証の動向を可能な限り見極めた上で、適切に対応することとする。(実施計画において確定)

※治水事業等関係費として、この他に業務取扱費等がある。


2.下水道事業関係費 【国費59億円
 下水道事業調査費等では、高効率栄養塩除去(リン回収を含む)、リスクマネジメント、効率的かつ計画的な浸水対策、地震対策等の推進を図るために必要な技術開発、調査研究等を実施する。
※「日本再生重点化措置」要望額約12億円を含む。


2.新規要求事項

新規制度
(1)河川工作物関連応急対策事業の拡充
・急速に河川管理施設の老朽化が進む中で、確実に安全を確保するため、計画的に老朽化施設の対策を講じていく必要がある。
・このため、現行の構造基準を満たしていない施設の改良を計画的に行っている河川工作物関連応急対策事業を拡充し、老朽化施設の質的な改良(耐久性、材料強度や機械の性能などの機能向上)を対象とすることにより、計画的に老朽化施設の対策を講じていく。

(2)新世代下水道支援事業制度の拡充
・東日本大震災において、津波により下水処理場の機械・電気設備の多くが破損し、また、商用電力の供給が停止したところ。
・被災地における新エネルギー対策を推進するため、下水処理水等を利用した小水力発電、水処理施設等を利用した太陽光発電の施設整備を支援する。


3.その他

高規格堤防整備事業について
 
高規格堤防については、昨年の行政刷新会議の事業仕分けの指摘を受け、いったん白紙にしてゼロベースで検討を行った。東日本大震災を踏まえれば、災害に対してはハード・ソフト両面の対応が必要であり、施設の整備水準を上回る外力に対しても、人命を守ることを第一に対応することが重要である。そのためには、地域と一緒になって避難計画を策定し、広域避難場所の確保も含めた避難体制を整備するとともに、安全な避難場所が十分ではない、あるいは密集狭隘のため避難できない場合もあることから堤防の決壊を回避する方策も必要となり、例えば海面下の土地で人命を守るためには高規格堤防が必要である。高規格堤防は施設の計画規模を上回る洪水に対しても決壊しない堤防であり、また、まちづくり事業と一体となって、地域住民の人命を守る安全で良好な住環境を形成するとともに、河川から離れた地域の安全度も高めるものである。

 このようなことから、高規格堤防については、「人命を守る」ということを最重視し、そのために必要な区間として「人口が集中した区域で、堤防が決壊すると甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間」とすることにした。

 具体の考え方は、
(1)堤防が決壊すれば十分な避難時間もなく海面下の土地が浸水する区間
(2)堤防が決壊すれば建物密集地の建築物が2階まで浸水する区間
(3)堤防が決壊すれば破壊力のある氾濫水により沿川の建物密集地に被害が生じる区間
とし、氾濫形態や地形等を考慮して区間を設定する。

 円滑な事業推進を図るために必要な諸方策については、引き続き検討を行う。

首都圏           近畿圏

 平成24年度予算における具体的な扱い
  (1)予算成立後の実施計画策定時に確定する。
  (2)新規箇所には着手しないこととする。



平成24年度水管理・国土保全局関係予算総括表(国費) PDF 55KB
平成24年度水管理・国土保全局関係予算復旧・復興枠総括表(国費) PDF 53KB
平成24年度独立行政法人水資源機構予算総括表(国費)
平成24年度独立行政法人水資源機構予算復旧・復興総括表(国費)
平成24年度独立行政法人水資源機構財政投融資等総括表(国費)
PDF 55KB






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