2012/12/3

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綿貫会長、伊勢の砂防を視察


 11月27、28日、綿貫民輔当協会会長が伊勢神宮の砂防施設を視察しました。伊勢神宮は、来年、20年に一度の式年遷宮の年に当たります。神宮の森は5,500haにおよびますが、その荒廃は鎌倉時代に遡ります。特に江戸時代には、流行した「おかげ参り」は、1830年の記録によると、半年で約500万人の参詣がありました(1年にすると1,000万人のお伊勢参り、当時の人口約3,000万人)。人が来ると、旅館や店屋が増え燃料が必要となる、ということで江戸時代には近隣の山が全山はげ山になったとのことです。

 荒廃した流域の復元を図るため、当協会創始者の赤木正雄の指導で昭和10年代から砂防による本格的な整備が行われました。来年の遷宮には一部ではありますが神宮の森から供出されるようになったとのことです(用材を提供しているのは長野県上松町の山)。宇治橋から上流は砂防施設となっています。五十鈴川の護岸をはじめ、その上流には美しい石積みの砂防堰堤が伊勢神宮を守っています。

 また、菰野町を流れる三滝川水系朝明川も視察しました。池田円男(重要文化財の牛伏川のフランス式階段工で有名)が明治の末に欧州に行く際持参した日本の砂防工事を紹介した「砂防工」や、赤木正雄の学位論文付図には、三滝川水系の当時の荒廃写真があります。古くから施工された砂防施設は今なおその効果を発揮し、地域の宝として住民の生命と財産を守っています。はげ山だった流域は百年の歳月を経て、今は紅葉に彩られた山系を見せていました。

 今回の視察では、三重大学、伊勢神宮、三重県、菰野町等皆様には大変お世話になりました。詳細は、「砂防と治水211号」(2013年2月号)に掲載します。


五十鈴川視察
(伊勢神宮宮域林、とび石と護岸工及び床固工)
島路川 島路第二堰堤


朝明川砂防堰堤(なわだるみ堰堤) 朝明砂防学習ゾーン