UPDATE 2014/5/27

「地域と連携した、里山砂防、施設点検、小水力発電に関する
平成25年度市町村アンケート」結果に基づく提言の実施について



 
 
 大野宏之砂防部長(左側)に提言書を手渡す
岡本正男理事長(右側)
 
  当協会では、平成25年度の事業として会員市町村に「地域と連携した、里山砂防、施設点検、小水力発電に関するアンケート」を実施しました。

 中山間地域では、過疎化や高齢化なども影響し、流域が管理不足となり、森林の荒廃などにより土砂災害発生の危険性が高まっていることから、流域の関係者と連携した砂防関連の取組みが進められています。
 その一環として進められている「里山砂防事業」や地域との連携による「砂防関係施設点検」、砂防堰堤を活用した「小水力発電」について、アンケートを行い、47都道府県1,190市町村より回答をいただきました。ご協力に心より感謝申し上げます。

 5月26日に、本アンケートの結果に基づく提言書を、当協会の岡本正男理事長より国土交通省砂防部の大野宏之砂防部長にお渡しし、砂防関係事業の実施等への活用や課題の解決に向けてご尽力いただくようお願いしてまいりました。提言書の内容を下記に掲載いたします。
なお、本アンケートの結果については当協会機関誌「砂防と治水」に掲載する予定です。 
   

 

地域と連携した、里山砂防、砂防施設点検等に関する提言



 近年、中山間地では、流域の森林への手入れが十分でなく、土砂災害発生の危険性が高まっていることなどから、砂防事業実施機関と流域の関係者等が連携した取組として、「里山砂防」や砂防施設点検、砂防堰堤を利用した小水力発電導入が一部で行われている。
 このような、中山間地において流域関係者と連携した砂防に関する取組についてアンケート調査を実施し、これらについて市町村の課題や要望等が明らかになったので、以下のとおり提言する。

1.「里山砂防」に関する情報提供について

 「里山砂防」の活動を知らない市町村が全体の70%を越えている一方、関心を持つ市町村は全体の40%以上あり、「里山砂防」に関する情報が強く求められている。特に、具体的な事例を含む情報が求められており、国や都道府県は、「里山砂防」に関する情報を広く提供する必要がある。


2.「里山砂防」推進の際の課題について

 「里山砂防」の推進に当たっては、森林所有者との連携が重要な課題であり、これらの調整に向けて、国や都道府県の協力が必要である。また、多くの場合、地元住民と里山砂防の実施者との連携が重要となるので、関係する国、都道府県、市町村の協力が必要である。
 近年、中山間地では、過疎化、高齢化が進んでいることから、広域で活動するボランティア団体等との協力も必要である。


3.「里山砂防」による地域防災力向上、地域の活性化について

 条件の整っている地域においては、地域防災力の向上や地域活性化の推進のため、自主防災組織や地元の学校などとの連携が期待されており、このような地域においては国や都道府県と市町村が協力して、取組を進める必要がある。


4.地域と連携した砂防関係施設点検等について

 住民参加による砂防関係施設点検は、住民の防災意識向上に役立ち、土砂災害の軽減に資する活動ではあるが、状況により、危険性が伴ったり、専門知識が必要になるなど、困難な場合が考えられる。また、過疎化、高齢化により、住民の協力が得られにくい場合もある。
 このため、具体的な活動事例を含む情報の提供が必要であり、特に、参加者が満足感を感じることのできるような工夫や活動が継続できる条件などの情報が求められている。
 また、高度な技術が必要な点検や危険な箇所での点検は、基本的には施設管理者や専門家が行うこととし、住民参加による施設点検を検討する自治体においては、簡易な点検を行うためのマニュアルが必要となっている。


5.砂防堰堤を利用した小水力発電について

 関心のある市町村からは、必要水量、費用対効果、維持管理費用、法令関係、災害時の費用負担などの基本的事項の情報が求められており、関係する行政機関から提供されることが必要である。併せて、小水力発電が導入された具体事例の情報も求められており、各種の小水力発電に関するガイドラインの周知とともに講習会等において学習する機会が必要である。

平成26年5月26日

一般社団法人 全国治水砂防協会






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