新 年 の ご 挨 拶


2010(平成22)年1月1日
(社)全国治水砂防協会

理事長   岡本 正男

 新年明けましておめでとうございます。皆様には、新たな気持ちで良き新年をお迎えと存じます。

 今年は、砂防協会が昭和15年(1940)、社団法人の認可を受けて70年目の年になります。昭和初期の大恐慌を受け、政府は農村の疲弊を救う手段として、昭和7年から9年まで時局救匡砂防事業を創設し、大幅な予算増の下、中山間地を中心に事業を展開しました。ところが、昭和10年に中止され砂防予算が大幅に減少する一方、昭和9年の室戸台風で全国に大きな被害が続出し、砂防事業の施行地とそうでない地域の被害の差が歴然となりました。砂防事業の必要性を痛感した長野県県会議員数名が、当時の内務省技師の赤木正雄先生に働きかけ、昭和10年に砂防協会が発足しました。昭和13年には支部数も23府県に及び、協会の組織も整備する必要もあり、昭和15年に内務省認可の社団法人になりました。支部は35府県、会員数は2,690市町村(現在1,429市町村)を数えました。

 社団法人設立から70周年目を迎え、人生でいえば、古希を迎えることになります。協会の歴史を辿れば数多くの出来事がありましたが、その理念「砂防事業を理解する国民の力を結集し、世論を喚起し、砂防事業の発展に邁進する」は不変で、砂防事業の発展、推進のための多様な活動を続けてきました。

 昭和56年に近代砂防事業が開始されて100年を祝う記念事業が全国で実施されました。協会は記念事業の一環として大著「日本砂防史」を発刊しています。その後30年近くを経て、法律や制度、組織、予算、砂防関係事業、海外協力、学会や研究、砂防関係団体等の分野について、変遷あるいは新しいものが生まれるなど歴史を重ねてきました。70周年を記念として、「日本砂防史U」(仮題)の編集に取り組んでいきたいと思います。

 昨年の予算編成において、一部を除いて殆どの補助事業が補助金から交付金という形になり、より地方の意向が反映されるようになりました。そのためには、地方がどういうビジョンのもと、地域の安全・安心を確保していくか、また活性化をどう図っていくかが問われます。縁の下の力持ち、言いかえれば、日頃は目立たない地味な砂防をどう地方は考えるのか。是非、毎年繰り返される不幸な災害を繰り返さないため、そして地域活性化に寄与する砂防を展開するため、皆様と一緒に推進に努めていきたいと思います。

 会員の皆様には、本年も引き続き砂防関係事業の発展、砂防協会の運営にご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。