(一社)全国治水砂防協会 UPDATE 2018/8/01

平成30年7月豪雨による
大規模土砂災害を踏まえた緊急提言





 一般社団法人全国治水砂防協会は、8月1日、綿貫民輔会長から石井啓一国土交通大臣に「平成30年7月豪雨による大規模土砂災害を踏まえた緊急提言」の実現を要請しました。
また、同日岡本正男理事長から国土交通省幹部と砂防部の栗原淳一砂防部長他幹部への要請活動も行いました。 
 
左から 綿貫会長 石井国土交通大臣
 
   
 
左から 栗原砂防部長  岡本理事長 
 
 
    
平成30年7月豪雨による
大規模土砂災害を踏まえた緊急提言



    
   観測史上記録的な豪雨となった平成30年7月豪雨は、土砂災害による死者が118名となるなど西日本を中心に広範囲に甚大な被害を発生させた。犠牲になられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げ、被災地域の一日も早い復旧・復興を願うものであります。
 今回の土砂災害は、砂防施設等の整備によるハード対策の重要性と、土砂災害防止法に基づくソフト対策を徹底することの必要性を再認識させたことを踏まえ、以下の緊急提言を行う。


 
 
   1. 被災地における二次災害防止と早期の復旧・復興
国及び関係府県は、今回の豪雨災害の被災地において、さらに被害が拡大しないよう、二次災害防止のための措置を的確に行うとともに、災害関連緊急事業や激特事業等の災害関係事業を適切に実施し、再度災害防止と被災地の早期復旧、復興の支援を行うこと。

 
   2. 土砂災害に対し安全で強靱な地域づくりの推進
国及び関係府県は、今回の土砂災害が広域的・同時多発的に発生し、市街地や集落のみならず重要交通やライフラインなど広範囲に被害が生じたことに鑑み、土砂災害に対し安全で強靱な地域づくりの観点から関係機関と連携して早期に復旧・復興すること。併せて、老朽化した施設については、徹底した点検を行い、その対策を早急に実施すること。


  
 
   3. 「土砂災害防止法」に基づくソフト対策の徹底
住民が土砂災害の危険性を認識することは、適切な避難行動をとるために不可欠であることから、都道府県は「土砂災害防止法」による土砂災害警戒区域等の指定を加速させ、市町村は、ハザードマップの住民への周知徹底等を図ること。


 
 
   4. 「避難が命を救うこと」を徹底すること
土砂災害警戒情報や大雨特別警報が発表されていたにもかかわらず、住民の避難が徹底されなかったことを踏まえ、その実態を検証し課題を明らかにした上で、防災教育や避難訓練等を通じて、行政の「知らせる努力」と住民の「知る努力」が相乗的に働く社会の構築に関係省庁が連携して取り組むこと。

 
 
 
   5. 砂防関係予算の大幅な増額及び土砂災害対策の専門職員等の増員
国及び都道府県は、砂防施設が未然に被害を防止した事例が多く見られたことから、予防対策としての砂防関係予算の大幅な増額を図ること。また、土砂災害専門家やTEC−FORCEの派遣が被災地の大きな支援になったことから、これらの育成と増員を図ること。


 
   以上、緊急提言する。


      平成30年8月1日
   
  一般社団法人 全国治水砂防協会
   
  会 長  綿貫 民輔    
 
   


平成30年7月豪雨による大規模土砂災害を踏まえた緊急提言(PDFファイル)


HOME