SABO NEWS LETTER 第20号 1999/9/1
3.平成12年度概算要求項目(砂防部関連)について



 
 ○平成12年度概算要求の概要

 本年6月に発生した梅雨前線豪雨をはじめ、近年の激甚な災害が発生して  いる状況を踏まえ、短期集中的かつ効率的に対策を実施するための制度の創  設・拡充を図るとともに、「安全な地域づくり」のために必要な再度災害防 止対策及び災害に強い体制の整備を重点的に実施する。


  ○平成12年度概算要求個別事業予算総計表 (単位:百万円)

区  分 平成12年度 前年度 倍 率
事業費
(A)
国費
(B)
事業費
(C)
国費
(D)
事業費
(A/C)
国費
(B/D)
 河   川 830,452 523,054 794,822 494,879 1.04 1.06
 都市河川 313,845 136,025 303,286 130,592 1.03 1.04
 河川災害復旧等関連緊急 53,534 30,000 53,803 30,000 1.00 1.00
 ダ   ム 511,822 347,367 499,688 341,306 1.02 1.02
 砂   防 379,861 227,672 362,870 216,694 1.05 1.05
 機   械 2,002 1,187 1,913 1,138 1.05 1.04
 海   岸 61,058 37,449 60,003 35,915 1.02 1.04
 急傾斜地崩壊対策等 105,751 53,433 99,289 50,018 1.07 1.07
 小   計 2,258,325 1,356,187 2,175,674 1,300,542 1.04 1.04
 災害復旧関係 61,171 43,695 60,209 47,305 1.02 0.92
合   計 2,319,496 1,399,882 2,235,883 1,347,847 1.04 1.04

(注)1.各事業の額は、住宅宅地基盤特定治水施設等整備事業、道路関係社会資本等を含んだ額である。

2.ダムの事業費には、水資源開発公団交付金の用地先行取得分及びダム建設調整費分を含む。



○新規要求事項

1、総合的な土砂災害対策の実施

 @再度災害防止対策特別緊急事業(砂防再特・地すべり再特)の創設

土砂災害発生箇所の応急的対策のみならず、周辺地域を含めた対策の集中的・重点的実施により、甚大な土砂災害が発生した地域の再度災害防止対策を実施

 A災害関連急傾斜地崩壊対策特別事業(がけ特)の創設

災害関連緊急事業の効果を確保し再度災害の防止を図るため、がけ崩れ発生箇所の応急的対策と一体的に、不安定化している隣接斜面の対策を実施

 B急傾斜地崩壊対策事業の採択基準の拡充

 近年の急増する災害弱者(高齢者等)の被災に鑑み、災害弱者関連施設の収容人員等を人家戸数に換算することにより急傾斜地崩壊対策事業の採択基準を拡充し、避難の困難な災害弱者関連施設を保全する急傾斜地崩壊対策を緊急的に実施

 C土砂災害緩衝樹林帯の整備

危険な斜面や谷の出口において、緩衝樹林帯の整備をモデル的に展開することにより、崩壊土砂や流出土砂による被害を防止するとともに、危険な地域における家屋の建築を抑制

 D土砂災害情報相互通報システム整備事業の創設

平常時から災害時を通じて、土砂災害関連情報を住民と行政機関が相互通報するシステムを整備



○重点事項要求内容

1、安全な地域づくり

 @激甚災害地域緊急防災対策
  [事業費:1,510億円、国費:877億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:162億円)]

 近年頻発している水害や土砂災害により激甚な被害を受けた地域に対する再度災害防止対策を実施し、約25万人の人命を土砂災害から保全する対策を概ね3年間で概成させる。

 A都市機能等の壊滅的被害を防ぐ大規模災害等危機管理対策
   [事業費:1,829億円、国費:1,106億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:186億円)]

 大規模水害及び火山噴火等による県庁所在地等の政治経済中枢都市における壊滅的被害防止対策、主要道路・幹線鉄道等の被害による広域的な物流の遮断や地域孤立化防止等の大規模危機管理対策として、スーパー堤防整備事業、高潮・侵食対策及び大規模火山泥流対策等を実施する。

 ・28火山におけるハザードマップの作成及び重要交通網集中地域に 
     おける約540箇所の土砂災害対策等を主に2003年までに概成

 B災害弱者関連緊急土砂災害対策
   [事業費:478億円、国費:253億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:46億円)]

 厚生省・文部省等と合同で実施した緊急点検結果に基づき、迅速な避難が困難な災害弱者に関連した病院、老人ホーム、幼稚園等の災害弱者関連施設に係る危険箇所や、高齢化率の高い地域において、砂防ダム等の土砂災害防止施設を重点整備する。

 ・自力で避難できない災害弱者を収容している施設に係る危険箇所等、緊急的に対応が必要な約1,600箇所の土砂災害対策を2003年までに概成、平成12年度は、約880箇所で実施
 
 C災害情報伝達ネットワークの整備
   [事業費 :429億円、国費:242億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:45億円)]
   
  ハード、ソフト両面から水害、土砂災害に対する情報基盤の高度化を図るべく、雨量計、水位計等の各種情報基盤の整備、土砂災害監視システムの高度化、堤防の状況や土砂災害危険箇所等のGISデータベース化等を推進する。

 ・概ね2003年までに約100箇所についてGPS斜面監視装置を整備
 ・平成12年度は水位計を約100箇所整備する等各種情報基盤を概成し、また、GPSによる斜面監視装置を約20箇所整備


  2、生活関連の社会資本の整備
   
 @水と緑のまちづくり支援対策
    [事業費:259億円、国費:140億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:25億円)]

 水環境の悪化している都市内河川への河川水の導水や川沿いの緑の整備、既存樹木を残しつつ斜面の安全度を向上する「緑の斜面工法」や斜面下に隣接する土地を利用して崩壊・流出土砂を捕捉する「土砂災害緩衝樹林帯」の整備を推進し、身近なうるおいを感じられる良好な水辺環境や緑豊かな都市環境を創出する。
 
 ・2002年までに約1200箇所の急傾斜地で既存樹木を残した斜面整備を実施、平成12年度は、約360箇所を整備


  3、環境・情報通信・街づくり等経済新生のための基盤整備

 @生態系保全等水環境改善対策
    [事業費:530億円、国費:340億円(うち生活関連等公共事業重点化枠国費:60億円)]

 生態系の保全等を図るため、関係機関と連携し良好な水辺環境を整備 

 ・保全するとともに、砂防事業と海岸事業等が連携して行う海岸侵食対策のための養浜等により、自然な土砂の流れを活かした整備を実施する。
 ・8流砂系を中心とする総合土砂管理対策の実施



 ○災害復旧関係事業の推進

  1、災害復旧事業・改良復旧事業の推進

 近年頻発する水害、土砂災害等に対応するため、被災原因除去、再度災害防止のための災害復旧事業・改良復旧事業を引き続き推進する。また、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」に則り、自然環境の保全に配慮した事業を推進する。



 ○事業の効率的・効果的実施に向けた取り組み

  1、省庁連携の推進(新規連携施策・事業

 @総合的な流木災害防止緊急対策(林野庁)

  平成11年6月末の広島・呉市の土砂災害等流木を伴う土砂災害が多発していることから、治山事業との連携により、流木発生箇所の緊急総点検調査・全体計画の策定を行い、流域保全の観点から上流部における森林整備、流木防止対策工等と下流部における流木捕捉対策工等を一体的かつ集中的に実施

 A土砂災害防止に配慮した災害弱者関連施設整備の支援(厚生省、文部省)
 
 自治体の社会福祉部局等との連携により、土砂災害危険箇所及びその周辺における災害弱者関連施設の新設や改築・移転の際に土砂災害防止に配慮した施設整備が図られるよう支援

 B短時間降雨予測を活用した土砂災害警戒避難体制の強化(気象庁)気象庁との連携により、短時間降雨予測等を組み込んだ土砂災害警戒避難基準の設定、予警報システムの精度向上を実施


        (上記に関する問い合わせは、建設省砂防部砂防課まで)