SABO NEWS LETTER  No.30 2000/4/5


2. 「2000年度を迎えて」 全国治水砂防協会理事長より



 各地で花の便りが聞かれるようになりました。会員の皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今こうして机に向かっている間も北海道の有珠山は噴火を繰り返し、地域の方々に大変な脅威を与え続けています。一時も早く活動が終息し平穏な日々が戻ってくることを願わずにはおれません。厳しい自然条件を持つ我が国の宿命とはいえ、災害のない安全で豊かな郷土の創造に向けて、私たち砂防協会も努力を続けなければと思う次第であります。

 昨年も災害が頻発いたしましたが、中でも6月の広島の土砂災害は大きな教訓と課題を提起いたしました。新しく住宅が、がけ崩れなどが起こりやすい山裾に建つことによって危険な状態になっていたところでの災害が目立ったのです。危険にならないように住宅が建つことを抑制したり、あるいはすでにある危険箇所の中の住宅の移転を促すような措置が必要という声が高まり、建設省はこのような状況に対処するための新しい法制度制定の作業を精力的に進めてこられました。すでに国会に提出され、間もなくこの法律案の審議が始まろうとしています。

 今回の、住宅が危険な山裾に入ってこないようにしたり、危険箇所の中の住宅の移転を促して危険を解消させるといった施策が加わることは画期的なことだと思うのです。土砂災害防止の方策の幅が広がり、まさに文字通り「総合的」な施策が展開されていくものと、大いに期待したいと思っています。
新しい世紀の幕開けに向けて、災害のない国土づくりのための手だてがいよいよ揃ってきたと思います。会員の皆様ともども、私たち砂防協会もこの施策の実行ある推進に協力をしていかなければと思う次第です。 

 さて、このSABO NEWS LETTERも一昨年9月から発行を続けてまいりましたが、今回で30回を数えることとなりました。2週間に一度ですが、できるだけ迅速に砂防に関する情報をお届けできるように努めてまいりました。
まだまだ不備なところなどいろいろご不満がおありでしょうが、どうぞお気づきの点をお聞かせいただきたいと思います。そして、このSABO NEWS LETTERのもうひとつの役割を「会員の皆様との情報交換の場、双方向の意見交換の場」と考えております。どうぞどしどしご意見、ご提案をお聞かせいただきたいと思います。お待ちいたしております。

新年度にあたりましてご挨拶申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


社団法人 全国治水砂防協会 理事長 大久保 駿