SABO NEWS LETTER  No.48 2001/9/5 


1. 国土交通省砂防部長よりご挨拶



  市町村長殿


1.台風11号は、大災害の発生には至らず、全国的に雨を降らせて、渇水に危機感をつのらせていた地域では、一息入れることができた所も多いようです。しかしながら、これから台風シーズンです。各地で土砂災害に対する備えを怠りなきようにお願い致します。


2.8月30日に「四国土砂防災ネットワーク」の第一回定期総会が高知市で開催され、出席してきました。四国4県の市町村議会の議員で自発的に構成されたもので、現在約70の市町村議会が参加しています。今後まだまだ増えそうです。
 地域の実情を最も良く知っておられる方々と意見交換できる場ができたことは、誠に有難いことで、中山間地域で今、何が必要とされているか、それに対して、私達は何ができるのかを考えることができる大変良い機会を与えてくれるものと、期待しています。


3.私達は、今まで、土砂災害という自然災害に対してハード(対策施設)で押え込める、あるいは防げるという驕りを持っていました。
しかしながら、自然災害は、私達が考えているように起こるものばかりではありませんし、また、対策の必要な箇所は余りに多く、莫大な事業費と、長い年月を要するのは明らかな事実であります。
 私達は、驕りを捨て、厳しい自然との共生の道を歩まなければなりません。これからは、厳しい自然現象である土砂災害に対して、いかにすれば災害を減らすことができるのかを、ハード・ソフトの両面から、みんなで模索していく時代であると思っています。
 その為には、自然災害の実態と恐ろしさを、多くの方々が熟知し、自分達の命や、生活をおびやかすこととなる、土砂災害の発生源である、山や斜面の状況が、どうなっているのかを把握していくことが大切です。
 また、私達行政に対しても、霞ヶ関の論理だけではなく、地域の真のニーズを適確に把握した上で、ニーズに合致した施策を展開していくことが求められているものと思っています。


4.同じ日の夕方、「奥飛騨女性砂防サポーターの会」のメンバー8人(1人は、所用のため欠)が、わざわざ国土交通省の砂防部長室を訪問され、自分達で取材した記事をまとめた、「サポーターだより」の創刊号を届けてくれました。 皆さん食堂や旅館の女将などの仕事をされている方々がほとんどで、多忙な仕事の合間をぬって、流域で行われている砂防事業の現場を調べたり、活火山焼岳が噴火した場合、お客さんの安全を守る為にはどうしたらいいかなど、女性としての視点、仕事の責任者の視点などから、砂防のことを知ろうとしている方々です。
 短い時間ではありましたが懇談することができ、迫力に押されっぱなしでしたが、有意義な時間を過ごすことができました。 今度は、こちらから赴いて、意見交換したいと思っています。


5.全国で県議会、市町村議会、住民というように、今までと違った形で、砂防のことを知ろう、地域の実情を訴えよう、行政に直接注文しよう、という集まりができてきて、様様な角度から、ご意見いただけることは誠に有難いことです。このような議論をへて、新しい時代の新しい砂防の道が描かれていくものと思います。
 土砂災害を防ぐためには、行政側だけの取り組みでは限界が有ります。 土砂災害防止を、行政の問題としてだけではなく、自分達の問題としてとらえることにより、自分の命・生活を守る為に、自分でできること、やらなければいけないことが見えてくるのではないかと思います。
 地域の方々の自発的な取り組みに大いに期待したいと思います。私達も可能な限り、地元に出掛けて、直接話を聞いて、行政として取り組むべき施策に反映していきたいと思います。


6.暑い夏の熱い参議院議員選挙も終了し、皆様方一息入れておられるのではないかと思いますが、私達は平成14年度予算の概算要求の作業が終り、これから暮の政府原案作成に向け、厳しい時期を迎えることとなります。
 引き続き、ご支援方宜しくお願い致します。


                                    
国土交通省
                                      砂防部長 森 俊勇



部長挨拶 原版(140KB)