(社)全国治水砂防協会 UPDATE 2008/7/24

砂防を全力で進めよう―人命を守る土砂災害対策の推進を―
緊急提言決議について




 社団法人全国治水砂防協会では、岩手・宮城内陸地震等による被害の実態に鑑み、平成20年7月23日に開催された理事・顧問会議において、人命を守る土砂災害対策の推進を目指しての緊急提言を決議し、直ちに国会および政府等へ要望活動を行いました。

 以下に緊急提言とパンフレット「砂防を全力で進めよう―人命を守る土砂災害対策の推進を―」を掲載し、報告といたします。


緊 急 提 言





 我が国では毎年1,000件を超えるような多くの土砂災害が発生している。今年もすでに、梅雨前線豪雨等により、土砂災害が多発している。特に6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震による未曾有の土砂災害は、流域の姿を一変する程の壊滅的な被害をもたらしたところであり、改めて土砂災害対策の重要性が認識されたところである。

 このような状況において、脆弱な国土の荒廃を防ぎ、尊い人命や貴重な財産が土砂災害により失われることがないよう、国はその責任を十分に認識し、国民の安全・安心を確保するため、必要な対策を地方公共団体と連携しつつ早急に講ずべきである。

 そして、人命を守る土砂災害対策のため、砂防を全力で進めよう!

 記

1.国は、近年続発する大規模地震や猛烈な集中豪雨による激甚な土砂災害の発生状況や、地球温暖化に伴う気候変動による影響等を踏まえ、国民の生命、財産を土砂災害から守り、地域の安全・安心を確保するため、砂防関係事業を強力に推進するための十分な予算を確保すること。

2.国は、20万箇所を数える土砂災害危険箇所の整備率が約20%の現状を深刻に認識し、土砂災害に対するハード対策とソフト対策を有機的に連携させた施策を全国に展開するなど強力なリーダーシップを発揮し、土砂災害対策を推進すること。
 
 特に次の事項に重点を置くべきである。

(1)岩手・宮城内陸地震等大規模な地震等による土砂災害が多発している。国の土砂災害に対する専門的技術に基づいて、より一層危機管理体制を充実するとともに、速やかに国自らが対応できるよう体制整備に努めること。

(2)土砂災害から人命を守る有効な手段は砂防えん堤等による施設整備である。然るに、その事業費の減少は誠に憂慮すべき状態にある。よって事業費の確保を図るとともに、災害時要援護者関連施設や避難場所、地域の防災拠点等を守る事業に重点化し、これらの対策を早急に完了させること。

(3)土砂災害が引き起こされる地域の多くは中山間地である。地域の活性化には、まず安全と安心の確保が不可欠である。よって、中山間地を土砂災害から守り、地域の活性化に資するため事業の推進と施策を強力に進めること。

(4)土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定が急がれる。都道府県および市町村と連携し指定を促進するとともに、特に警戒避難体制の整備について、市町村長が避難の指示・勧告を速やかに行えるよう、国は技術的、財政的支援を強力に行うこと。

 以上、緊急提言する。

   平成20年7月23日

社団法人 全国治水砂防協会
会 長  綿貫 民輔



緊急提言(PDFファイル)

パンフレット 砂防を全力で進めよう―人命を守る土砂災害対策の推進を―





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